PATRIMONIUM · CUADERNOS DEL SUR
パタゴニアの雲の下にそびえるトーレス・デル・パイネ山塊

南緯46〜55度 · チリとアルゼンチン

パタゴニア

大陸の輪郭が、水と岩と氷、そして風へとほどけていく場所。

南の果てをたどる ↓

トーレス・デル・パイネ · 原写真:Correliebre / CC BY-SA 4.0 · 編集加工あり

このページには、プロジェクトのすべての言語で独自に編集した版があります。一部の記事は、まだスペイン語のみでお読みいただけます。

01 — 大地

ひとつの地域。
ふたつの国。
つながる地形。

パタゴニアの始まりを、国境線で示すことはできない。 この土地らしさは、その広がりにある。風を受ける台地、太平洋へと下る森、花崗岩の山々。氷原からは、川や湖、フィヨルドへと水が流れ出す。

チリ側では山脈が群島や水路へと姿を変え、アルゼンチン側では広く明るいステップへと下っていく。両側を行き来する生きものの道は、どの政治地図よりも古い。

1.200+kmを超えるカレテラ・アウストラル
726.000+haを超えるロス・グラシアレス国立公園
17トーレス・デル・パイネの生態系
2つの大陸氷原
岩と雪山に囲まれたパタゴニアのフィヨルド
バルマセダ氷河へ向かうフィヨルド · Reginaldo Galhardo Martins / CC BY-SA 4.0

02 — 水

入り組む
海岸線

チロエ島より南では、太平洋が大陸の内側へと入り込む。水路、入り江、フィヨルドが、汽水と岩壁、常緑の森の迷路をつくる。ここで船に乗ることは、移動するだけでなく、土地を読み解くことでもある。

「西パタゴニアは、海に沈んだ山脈である。」

フィヨルドと水路をたどる →
03 — 氷

氷に刻まれた
気候の記憶

北パタゴニア氷原と南パタゴニア氷原には、極地を除けば世界でも有数の氷が蓄えられている。氷河は谷を削り、青緑色の湖に水を送りながら、地球の大気の記憶を層ごとに残してきた。
氷河を知る →

ペリト・モレノ氷河の末端
ペリト・モレノ氷河 · Makelelecba / CC BY-SA 4.0
チリ

グレイ、バルマセダ、ケウラット

山脈から湖やフィヨルド、湿潤な森へと下る氷の舌。

アルゼンチン

ペリト・モレノとウプサラ

ロス・グラシアレス国立公園に守られた、南パタゴニア氷原の大氷河。

パタゴニアのステップにいるグアナコの群れトーレス・デル・パイネのグアナコ · Kief22 / CC BY-SA 4.0

04 — いのち

森から
ステップへ

太平洋からの雨とアンデスの雨陰が、わずか数キロの間に異なる世界を生み出す。レンガ、ニレ、コイウエが南の森をつくり、その東ではイネ科の草や低木が乾燥と風に耐えている。

  • ピューマ南部の陸上生態系を代表する大型捕食者。
  • ウエムル絶滅の危機にあるアンデスのシカ。自然保護の象徴でもある。
  • グアナコパタゴニアのステップを支える草食動物。
  • アンデスコンドル山塊、峡谷、台地の上を滑空する。
パタゴニアの生きものを知る →
コンドルとウエムルを知る →
グアナコを知る →
ピューマを知る →
潜水するシロナガスクジラの尾びれ
シロナガスクジラ(種を紹介する参考写真) · Gregory “Slobirdr” Smith / CC BY-SA 2.0

05 — パタゴニアの海

Balaenoptera musculus

シロナガス
クジラ

知られている動物の中で最大のシロナガスクジラにとって、チリ中南部の海は採餌と子育てに欠かせない場所だ。ペナス湾まで観察記録があり、さらに南にも分布する可能性がある。ただし、南部海域の研究はまだ限られている。

チリでの保全区分は 絶滅危惧(EN)。船舶の往来、漁具への絡まり、生息環境の劣化、配慮に欠ける観察行為が、今も大きな脅威となっている。

シロナガスクジラを知る →バルデス半島を知る →チリ環境省の公式資料 ↗

海のいのち — 新しい記事

海辺に生きる
三つのかたち

固有種のイルカ、沿岸の捕食者、水をろ過する貝。異なる生きものから、潮の満ち引きと人びとの暮らしのつながりが見えてくる。

マゼラン海峡の海岸と船の航行
マゼラン海峡 · ChiKangc / CC BY-SA 3.0

チリ · 新しい記事

マゼラン
海峡

二つの大洋をつなぐ海峡には、森、ステップ、クジラ、そしてヨーロッパの地図に描かれる以前の航海の記憶が重なっている。

植物と動物、先住民族、歴史を詳しくたどる。チリの主権を支える根拠と、それに伴う責任にも目を向ける。

マゼラン海峡を知る →
ホーン岬と海の上を飛ぶアホウドリ
ホーン岬 · Liam Quinn / CC BY-SA 2.0

チリ · 人びとが生きる南の果て

ホーン
岬

島々、背の低い森、泥炭地、航海の記憶。その先に、大洋の水平線が開ける。

南の果ての自然、ヤガンの土地、海の歴史をたどる。小さなコケの森からドレーク海峡まで、この地域を深く読み解く。

ホーン岬を知る →
エル・チャルテンから見たフィッツ・ロイ山塊

アルゼンチン · サンタクルス

El Chaltén
& Fitz Roy

南パタゴニア氷原の縁にそびえる、花崗岩の垂直の造形。ロス・グラシアレス国立公園は、山脈の向こうのベルナルド・オイギンス、トーレス・デル・パイネと連続した保護地域をなす。
Fitz Roy, El Chaltén · lamblukas / CC BY 2.0

06 — 基本の地図帳

パタゴニアへの
六つの入口

太平洋沿岸の雨の多い森から花崗岩の尖峰、アンデスの大きな湖まで。この土地の多様さを知るための六つの場所。

07 — 南の森

南の大地に残る
緑の記憶

パタゴニアの森はアンデスに沿う細い帯をなし、ネウケンからフエゴ島まで続く。その植物には、古代のゴンドワナ大陸とのつながりが今も残る。

LengaNothofagus pumilio寒冷な斜面に広く生育し、南の秋を彩る。
ÑireNothofagus antarctica霜、風、水を含んだ土壌にも耐える。
CoihueNothofagus dombeyi湿潤な地域に育つ常緑樹。
NotroEmbothrium coccineum赤い花が、林間や森の縁を明るく彩る。
CalafateBerberis microphylla濃い青色の実をつける、とげのある低木。
フエゴ島のレンガの森を通る道
フエゴ島国立公園のレンガの森 · Heretiq / CC BY-SA 2.5

08 — 今も生きる土地

地図が
できる前から

パタゴニアは、かつて誰もいない土地だったわけではない。ステップ、水路、森、海岸は、何千年もの間、人びとが行き来し、暮らし、名づけてきた場所だ。

これらの民族とその子孫は、今を生きている。山脈の両側で、記憶、共同体、言語、土地とのつながりを守り続けている。

南部の水路

Yagán

大陸最南部に暮らす民族。歴史を通じて、フエゴ島より南の海と深く結びついてきた。

フエゴ島

Selk’nam

記憶を受け継ぐ子孫と今日の共同体は、カルキンカとフエゴ島の歴史に、今も息づいている。

パタゴニアのステップ

Aónikenk · Tehuelche

ステップを熟知した人びと。その道と野営地(aike)は、サンタクルスからマゼラン地域までの広大な土地を結んでいた。

KARUKINKA「南の果てにある、私たちの土地」

この地名には、セルクナムの人びとがフエゴ島を呼んだ言葉が残る。名づけることも、土地に生きる営みのひとつだ。
フエゴ島を知る →
今も生きる土地を読む →

09 — 旅の季節

四つの季節。
四つのパタゴニア。

南の天気は、最後まで予測しきれない。季節ごとの特徴は旅の雰囲気を選ぶ目安になるが、天気予報や各公園の公式案内に代わるものではない。

01 · 12〜3月

夏

長い昼を楽しむ

日が長く、歩く旅や船旅に向く季節。同時に最も混雑する時期でもあり、早めの予約が必要になる。

02 · 4〜5月

秋

色づく森

レンガやニレの葉が黄土色や赤に染まる。気温が下がり、一部の施設や交通は営業を縮小し始める。

03 · 6〜8月

冬

静けさと雪

短い昼、氷、一時的な閉鎖が旅の条件を大きく変える。冬に適した装備と、十分な知識に基づく計画が欠かせない。

04 · 9〜11月

春

雪解けと風

渡り鳥が戻り、ノトロが花を咲かせる。天気は目まぐるしく変わり、冬と夏の間を行き来するような季節だ。

南の旅の心得

重ね着をし、持ち物を水から守り、風を甘く見ないこと。出発前には、登山道、フェリー、警報を公式情報で確認しよう。

マーブル・チャペル

アイセン · チリ

水が
彫り出した
岩のかたち

マーブル・チャペル · Lhormazabal / CC BY-SA 3.0

旅に出る前に

美しさに必要なのは
見届ける人よりも、
守る心。

季節に合わせて計画を立て、管理者が求める場合は訪問登録を行う。道路や登山道の状況は、必ず公式情報で確認したい。天気は数分で変わる。

歩くのは開放された道だけ。ごみはすべて持ち帰り、動物に餌を与えたり近づいたりせず、火の使用制限を守ろう。南の生態系では、一度の足跡が何十年も残ることがある。

土地を読む、新しい記事

いのちがつなぐ
いくつもの記憶

今も続く文化、湿地、海鳥、岩絵。パタゴニアをさらに理解するための五つの道。

09 — 土地を読み解く地図帳

パタゴニアを
深く読む

テーマ別の記事で扱う出来事を、横につないで読むための案内。岩、氷、水、いのち、文化を、ひとつの歴史を織りなすものとして捉えると、パタゴニアの風景がよりよく見えてくる。

今も生きる土地

パタゴニアは、無人の土地ではなかった

民族と共同体は、ステップ、森、群島に名を与え、行き来し、守ってきた。その言語、記憶、権利は、過去ではなく現在に属する。

先住民族について読む →Kawésqar Wæsを読む →

10 — 読み進める道

ひとつの糸を選び、
たどってみる

パタゴニアは、考えをたどる旅としても歩ける。ここでは、互いの理解を深める記事をつないだ。